1990年代高位脛骨骨切り術といえば Closed wedge 高位脛骨骨切り術のことでした。1993年に腰野富久教授に教わりながら私が初めて執刀した高位脛骨骨切り術も Closed wedge 型でした。2010年以降、腓骨切除を必要としない Open wedge 型が普及していきましたが、2010年代後半から Open wedge 型の限界や問題点がわかってきて、見直されている手術方法です。Closed wedge高位脛骨骨切り術は、O脚変形が強いとき、膝が完全に伸びないとき、膝の内側だけでなくお皿の裏側の軟骨も摩耗しているときに行われている手術です。下腿には、内側の脛骨と外側の細い腓骨はありますが、この手術はOpen法と異なり、腓骨を一部切除します。

52歳男性 日常生活の痛み 膝が完全には伸びないためClosed法を行いました。

左:手術前下肢全長レントゲン正面像では、中等度のO脚変形で荷重線は膝の中央より内側を通っていて痛みがでています。中央:外反ストレス像では、外側の軟骨が残っています。右:内反ストレスでは、内側の軟骨が1/3以上摩耗しています。

CW手術前Xp

MediCADソフトウェアによる手術前計画

CW手術前計画

手術中関節鏡で観察した関節所見

関節鏡所見 左:内側大腿骨・脛骨側とも軟骨がほとんど摩耗し、骨が一部露出しています。右:外側大腿骨側はほぼ正常、脛骨側は表面が毛羽立ち始まっています。

CW手術前関節鏡所見

手術後下肢全長レントゲン正面像では、荷重線は中央やや外側を通っています。軟骨のある外側に荷重線が通り、そこで荷重されるため、さらにグラグラ感(動揺性)も減少し痛みがとれました。

DLO手術後Xp