膝外側角 180° 以上、MRIで深さが20㎜を超えるものは、いずれ痛くなる可能性が高いですので、手術を勧めます。これは一流ジャーナルに投稿したエビデンスに基づいています。
重症度を正確に評価するためには、下肢全長レントゲン像とMRIが必須です。
骨切りができるかどうかは、さらにTelos SE 外反ストレス撮影が必要です。
(膝周囲骨切り術ができる膝かを参考にしてください。)
手術にならなかった例:膝外側角180°未満、MRI深さ20㎜未満
手術になった例 膝外側角180°以上、MRI深さ20㎜以上
膝骨壊死は、ほぼ正常膝から初期変形性膝関節症患者さんの大腿骨内顆または脛骨内顆に起こることが多いです。
内顆(膝関節の内側の大腿骨か脛骨のどちらか)以外の軟骨・半月板・靭帯は比較的正常なことが多く、膝周囲骨切り術を行い最も成績がよいのが膝骨壊死です。
膝骨壊死に人工膝関節置換術を行われている患者さんをしばしば診ますが、なぜ正常な膝関節外側の軟骨まで置換してしまうのか、正常な部分は残すべきと思います。
O脚が原因または内側の骨壊死でO脚になっていること多いので、高位脛骨々切り術をして内側にかかっている荷重を外側に移す治療が理にかなっています。
骨軟骨移植(モザイクプラスティー)の併用
骨壊死部の軟骨欠損が大きい場合、壊死部がへこんでいる場合は、以前京都大学におられた中川泰彰先生の開発された骨軟骨移植術(モザイクプラスティー)を追加しています。以前は関節を開いて行っていました。
74歳女性、進行した特発性大腿骨内顆骨壊死です。
関節内所見 左:大腿骨内顆骨壊死部で関節が広範囲に陥没しています。右:円柱状の骨軟骨柱を移植しました(モザイクプラスティー)。
Open wedge 高位脛骨々切り術+骨軟骨移植術 9年後の膝レントゲン正面像です。
膝関節鏡視下骨軟骨移植術
現在は膝関節鏡視下で、骨軟骨移植術をおこなっています。
59歳男性、進行した特発性大腿骨内顆骨壊死です。
左:特発性大腿骨内顆骨壊死の膝レントゲン正面像です。右:膝MRI正面像で、黒い部分が骨壊死です。
関節鏡所見 左:大腿骨内顆骨壊死部で軟骨が剥がれかかっています。中央:骨壊死部をきれいに削った後です。右:1つ目の骨軟骨移植したあとで、柱を3か所に入れました。
Open wedge 高位脛骨骨切り術を行いO脚変形を矯正しました。
関節鏡所見:1年後に、きれいに軟骨ができていました。